ゆるふわdiary

好きなこと(特に本)についてゆるっとふわっと語るブログです。

2021年2月に読んで面白かった本

2月に読んだ本で特に面白かった本の感想を。

ネタバレがありますのでご注意下さい。


占い師には花騎士の恋心が見えてます(作:Mikura)

占い師には花騎士の恋心が見えています

占い師には花騎士の恋心が見えています

魔法使いの末裔で、他人の感情や未来を人の頭の上に現れる予想線で見ることができる薬屋のシルルは、権力者に利用される恐れのある治癒能力も持っていた為に人と深く関わることなく生きてきた。ある日花の騎士と言われるエクトルの命を救ってしまったことから彼に興味を持たれてしまうが。


女性達から人気のあるエクトルなのですが、本当は女嫌いで自身の美貌を利用して情報を収集する強かな面があります。そんな彼は最初普通の女性のような反応をしないシルルに興味を持ち絡んでくるのですが、シルルは彼が怪我の後遺症に苦しんでいることを見抜いてしまうのです。
シルルの処方する薬をもらう為にシルルの店に通うことになったエクトル。エクトルの本質を予想線によって理解したシルルとの会話を重ねていくことでやがて興味から恋心に変わっていくのですが、いつも冷静なシルルが時々無意識にド直球の言葉をエクトルに投げるものですから、その直撃をくらうエクトルが乙女のように恥じらうのがとても面白かったです。初恋にジタバタしているエクトル可愛い。シルルに対して執着を見せるのもよき。最初の頃のチャラくて冷淡なエクトルとは別人のようです(笑)いやでもシルル以外の女性には冷淡なのだからシルルが特別過ぎるのでしょう。

結局シルルがエクトルへの想いに応えるまでには至らなかったのですが、シルルも誘拐されるというピンチの時には離されてしまったエクトルのことで頭が一杯になっていたので、もうとっくに恋に落ちていてあとはエクトルを信じられるかどうかだけですよね。最後にエクトルの親友である第一王子の専属相談役となったシルル。エクトルと共に送ることになった城での新しい生活がどうなるのか、2巻が出るのを楽しみに待ってます。巻末の4コマ漫画とイラストが素敵。



翼の帰る処(作:妹尾ゆふ子)

翼の帰る処 (上) (一般書籍)

翼の帰る処 (上) (一般書籍)

以前から気になっていたこのシリーズ。長編なので躊躇していましたが、1巻上の電子版が読み放題になっていたので試しに読んでみようと手に取ったらドはまりし、3巻まで読み終わってしまいました...。


尚書官のヤエトはびっくり病弱人間(笑)の為隠居を夢見ていた。北嶺という辺境の地に左遷され隠居生活を送れると期待していたが、待っていたのは現地住民のもめ事の折衝。ウンザリしながら過ごしていたところに、何故か北嶺太守に着任した14歳の皇女がやって来て、副官として面倒を見なければならなくなり...。


早く隠居したいと常々言い続けながらも、結局トラブルに首を突っ込んで抜け出せなくなってしまうヤエトのキャラクターが魅力的。彼は実は「恩寵」と言われる不思議な力を持っていて過去を視ることができるのですが、その能力を使い皆に知恵を授けたり問題の突破口を見つけるのがとても格好いい。でも肝心の戦闘シーンとかでは過去視の力を使った反動で寝込んでいるとか、ヨロヨロになっていて他の人に抱えられているとか、大概ほぼ見せ場なしで終わってしまうのがああ~、またかと思いながらもヤエトらしくて面白いのです。

彼が仕えることになる皇女は最初勝ち気で男勝りで必死に大人になろうと背伸びしているお姫様、というイメージでしたが、ヤエトと関わり北嶺の主として活躍するようになると徐々に王としての風格を出すようになってきます。
で、ロマンス好きな私としては気になってくるのは、皇女はヤエトに恋心のようなものを抱いているのか否かということです。私は恋しているのでは、あるいは気になる男性として見ているのではと思っています(3巻時点では)。ヤエトに真の名前を教えたことが(皇帝一族は真の名前を他人には明かさないことになっている)ヤエトを信頼している証でしょうし、ヤエトが別の場所に行っている間はヤエトがいなくてもしっかり北嶺王として領地を治めようと懸命な努力をしているのが健気です。ヤエトが女官の名前を覚えているのにちょっとした嫉妬のようなものをしていたりもしています。
でもヤエト先生は22歳の歳の差もあって手強い。時々急に皇女をからかったりしていますが恐らく妹のようにしか思っていないのかも。
そんな二人ですがお互いにいい影響を与えていて、皇女はどんどん成長し、ヤエトはそんな皇女がもし帝位を欲するなら狙ってやるとまでの生きる目標を持つようになってきたのが凄い。人生諦めモードで隠居することばかり考えていたヤエトの変化が喜ばしいです。

私の好みであるロマンス部分のことばかり書いてしまいましたが。
本質はファンタジーと陰謀劇が混じりあった読み応えのある重厚な物語ですよ!

ヤエトと共に皇女を支える騎士のルーギンや、目茶苦茶強くてヤエトの世話を焼きたがる(でもまだ完全な味方ではない)老騎士のジェイサルド、何を考えているのかわからない存在感たっぷりの皇妹、恐いけれどもしかしたら娘をヤエトに盗られた気がしてやっかんでいるのではと思われる皇帝など、他の登場人物も皆個性的で面白いです。
皇子達の皇位継承問題に巻き込まれ、しかも魔物が現れるという世界の危機を防ぐ手立てを探さなくてはならなくなって、どんどん隠居への道が遠のいているヤエトが今後どんな風に活躍するのか楽しみです。
あと鳥!馬並みに巨大で人を乗せて飛ぶ鳥が非常に重要な役目を担っています。3巻では雛鳥が誕生して、ヤエトを兄弟のように思っているらしくヤエトの元に訪れては膝の上に乗る鳥達が可愛いです。

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